オリジナル商品を扱う雑貨メーカーの中には、自社の商品イメージを重視して、同一地域で取扱店がバッティングしないようにしているところもありますが、各メーカーによって地区設定等の基準はバラバラです。
東京や大阪などの大都市と地方では、お店の数もまったく違いますから「1地域1店」というメーカー側の判断基準もおのずとかわってきます。
販売メーカーにとっても、自社ブランドの希少価値を高めるために戦略的に地域バッティングを厳しくしている場合以外は、長引く景気低迷の現在では、本音としては1店でも多くのお店に商品をならべてもらえれば、自ずと販売機会も増し、売り上げアップにつながる可能性も高くなります。
しかしそうなれば、今まで取り引きを継続してきた既存店にとっては、近くにおなじメーカーの商品をならべたライバル店が出現することになり、他店との差別化商品がなくなってしまいますから、一大事で当然苦情が出てしまいます。
いろんな地域にお店を出している多店舗店が新規出店する場合などでは、はじめからある程度の売り上げが予測できますので、メーカー側としても積極的に取り引きをしてもらおうとしますが、「このお店がはじめての出店」という開業初心者の場合は、すでにその地域に既存の取り引き店があれば、まずそちらのお店のほうを大切にします。 わざわざリスクをおかしてまで新規の取り引きをしようとは考えません。
しかし場合によっては、現在取り引きをしている既存の雑貨店(雑貨ショップ)があったとしても、メーカー側の期待するような売り上げが取れていなかったり、支払い状況が悪かったりする場合は、そのお店を見切ってあなたの雑貨店と新規の取り引きを開始してくれる場合もあります。
このような場合は当然、そのメーカーの商品に対するあなたの強い熱意(思い入れ)が必要となります。
「こちらのあたらしいお店と取り引きをしたほうが、自社の商品をいまのお店よりもっと売ってくれるのではないか?」 とそのメーカー側の担当営業担当者が思ってくれたならば、新規の取引にも応じてくれる場合もありますから、どうしても取り引きしたいような素敵な雑貨メーカーさんが見つかったら、最初からあきらめないで果敢にアタックしてみて下さい。
そして、この地域バッティングの問題を見事にクリアーでき、メーカーとの取り引きが可能になったならば、いよいよ相手先(担当者)との直接交渉となります。 ここからは、メーカーとの取り引き条件を確認する際において注意するポイントをご紹介しますのでよかったら参考にしてみてください。
いくらそのメーカーの雑貨商品がお気に入りだとしても、販売利益が少なかったりする場合には、ビジネスの観点からはもう一度再考することも必要です。
ライセンス生産の商品などには、始めから比較的高い掛け率が設定されていますが、それ以外の一般商品に関しては、上限で定価の68%(お店の利益が32%)を目安にしてみて下さい。
それ以上の掛け率になると、クレジットカード等を使用された場合、手数料5%をとられてしまうと利益率がかなり下がってしまいます。 あなたの愛情のこもったお店を末永く継続、発展させてゆくためにもしっかりと儲けは確保しなければなりません。
ブランド力があったり、自社ブランドのイメージを重視するメーカーなどの中には、初年度、および2~3年の売り上げ額の継続性をみて、好調ならば次年度から掛け率を下げてくれる(利益が増える)場合もありますので、最初の交渉時に細部までしっかりと詰めて下さい。
売れ残った商品については、差しかえ(返品)を受けつけてもらえるのかを必ず事前に確かめておくことを忘れないで下さい。 その場合、差し替え時の限度額の有・無もとても重要です。
取引当初には、限度額を毎月の仕入れ額の1割~3割というように設定されたとしても、その後の取り引き額によって状況は変わってきます。
売上(取引額)が毎年アップしていった場合には、メーカー担当者と再交渉をして、より優位な条件に変更してもらいましょう。
ファッション関連商品では、各シーズンの終わりに売れ残った商品をバーゲン用に値引きしてくれる場合があり、これを業界用語で「期末の値引き」と呼びます。 期末とは「春・夏」と「秋・冬」の2シーズン商品の終わりのことで、一般的な年2回のバーゲン時期をさします
例えば6掛けでシーズンはじめに仕入れた中から売れ残った商品について、バーゲン前に15%~25%程度値下げしてもらえます。これによってお店はバーゲンで値引き販売しても通常レベルの利益率を確保できるようになります。
一例として、6掛け(60%)で仕入れた定価10000円のバックが売れた場合のお店の利益は、通常は4000円(40%)になります。
このバックが売れ残ってシーズン末にメーカーが20%の期末値引きをしてくれた場合の仕入れ原価は
6000円 ー 定価の20% = 4000円 に下がります。 (通常原価) (値引き原価)
これをバーゲン時に30%OFFの7000円で販売した場合の利益は
7000円 - 4000円 = 3000円になり、利益率は
3000円 ÷ 7000円 = 42.8%(約43%)で
通常販売よりも高い利益を確保できるんです!
特にアクセサリーについては、バーゲン時にメーカーにお願いすれば2000~10000円の商品を500円ほどで卸してもらえ、それらの商品がよく「1000円均一!」でセール販売されています。
衣服を含めてファッション商品は、大なり小なりこのようなシステムが一般的で、バーゲンで値引き販売してもしっかりとどのお店も儲けているのが現状です。
ですから、あなたの雑貨ショップも1年を通してしっかりと利益を出して儲けなければなりません。例えば、値引きしてもらった商品をうまく定価のままで販売できれば、それだけで6割ちかい利益があがりますので、その分不良在庫の処分価格を目いっぱい値下げしてバーゲンの客寄せ目玉商品にすることも可能となります。
このように「期末の値引き」はお店にとっては、全体の利益率におおきく影響するので、メーカーとの交渉ではしっかりと確認すべき重要ポイントといえます。
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毎月の仕入れ商品の支払い期日は、ほとんどの場合はメーカー側がお店の都合に合わせてくれます。 取引最初の仕入れ商品の支払いは、まだあなたのお店には信用がありませんから、メーカー側からは商品の発送前に代金を支払う
【代引き】 を要求されるかもしれません。
納品された商品についての修理等のアフターケアーは、ほとんどの場合メーカー側で全てやってもらえます。
商品が折れたり、割れたり破損して現状回復が困難なケースを除いて、送料と材料代以外の修理費はまず請求されるようなことはありません。
修理の可能範囲は商品の種類や素材などにより異なりますから、お店を続けていく過程で自然に身についてゆきます。 アクセサリーなどは慣れれば、不器用な人でも結構簡単に自分で修理できるようにもなります。
以上が卸し問屋とメーカーでの「商品の仕入れ」についての方法と注意点です。
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